個人と社会の関係を深く掘り下げてきた著者渾身の論文集。現代社会と法の有り様を浮かび上がらせ、法社会学の普遍的テーマに迫る。個人と社会の関係に切り込んだ論文を中心に、3部構成で現代社会と法の有り様を浮かび上がらせる書。
第1部は現代社会の特徴を扱う。日本の近隣紛争などに注目し、地域社会の個人化を論じる点で共通するが、安易な人民の連帯には横着できない個人化・流動化した世界を論じる。
第2部は広い意味での法学方法論を扱い、法の閉塞状況を分析する。司法制度改革の実践、ローエコの系譜などを観察し、法学的「知の自律性」とは何かを論じる。
第3部は、人が法にどう関わっているか、法はどのような機能を果たしているかを探究する。第1部でみたような現代社会において法にあえて関わらなければならない理由を探り、その意味を俯瞰した論攷が並ぶ。