『 黒檀 調 木製 台座 』

持つ手にほどよい重量感を授け、本物の翡翠であればこそ伝わるひんやりとした感触。茶を点てれば、そこには翡翠と抹茶が醸す同系色の親和で満たされます。楽型茶碗が持つ手捏ね風の自由奔放さ、歪みと厚手を見事に併せ持った作り、天然の翡翠をよくぞここまで造形美に仕上げたものと感嘆の吐息が出るばかりです。茶の聖地、大徳寺塔頭黄梅院住職・小林太玄師は、永遠の翠の美しさを失うことのない翡翠に託し、震災復興を祈願しこの翡翠楽型茶碗に『千年翠』と命名、直筆箱書きをされました。茶をたしなむ愉悦はもとより、台座に置き、松の新芽が吹き出るような浅緑にしばし鑑賞に浸ってみるのも一興です。

東洋や中南米では古くから貴人がこぞって求め愛蔵し、金以上に珍重された貴石、それが翡翠です。すべての鉱物の中で最も割れにくい性質を持つ翡翠は、不老不死または蘇生の力を持つと信じられ、日本では糸魚川で産出加工された「勾玉」の原石が翡翠といわれています。
古代中国の皇帝やインカの王族が絶大な権威の象徴として身にまとうほどの贅沢品でした。宝石言葉は「長寿、健康、徳」とされ、硬質の素材ゆえ加工にも特段の技術と時間を要します。鮮やかな翠色はカワセミの翠毛に由来し、翡翠はそのまま「カワセミ」と訓読みされます。翡翠の真贋を見極めるには高度な審美眼が求められますが、その美しさ、硬度、組成どれをとってもミャンマー産本翡翠を凌駕するものはありません。
楽型茶碗『千年翠（せんねんのみどり）』天目型茶碗『翠竹（みどりのたけ）』はいずれもミャンマー産本翡翠原石を贅沢なほど大胆に切り取りし、研磨造型された希少品です。

広い口縁から碗内を覗くと、永遠の若さを誇るような翠の星雲を想起させる紋様が現れます。古来、茶人は茶碗それぞれの紋様に四季を感じとるといわれます。天目型茶碗『翠竹』も数億年という時の刻みがつくった奥深い世界をみせてくれます。永遠の美しさと逞しさを兼ね備えた翡翠に、青竹ような若々しさと、天に直進する姿を重ねた天目型茶碗『翠竹』。

天目茶碗の特徴は、擂鉢（すりばち）状で口縁はわずかにくびれ、高台（こうだい）は低く小さいことです。その名の由来は鎌倉時代に中国浙江省の天目山の寺院で学んだ留学僧が持ち帰ったところからといわれます。天目台に乗せた姿は楽型茶碗と趣をことにした美しさを主張します。
楽型茶碗『千年翠』同様、天目型茶碗『翠竹』も小林太玄師の命名と直筆箱書きが記された桐箱入りです。茶をたしなむ方はなおのこと、美を愛でる方であればどなた様もこの楽型茶碗『千年翠』天目型茶碗『翠竹』を家宝として末長くご愛蔵してください。