心不全は循環器疾患の中で最大の難関であり,数多くの課題をはらんでいる。患者数は増加の一途であり,予後不良な患者が多いことも問題となっている。治療を困難にさせている原因は病態の複雑さである。循環動態のみならず,交感神経系や内分泌系の亢進など様々な要素が織りなして病態を形成している。その核となる心臓の機能一つにおいても難解である。心臓は,その折々の様々な負荷に対して適応と破綻を繰り返して今の状態に至っている。それを紐解くには病歴や様々な診断ツールから得られた情報から解読するしかない。心エコーは,心不全の診断や治療のモニタリングに必要不可欠な診断ツールである。現在,心腔の形態や機能のみならず心筋の機能や心腔内の流れや圧力を評価できるようになり,臨床に役立てられる機会も増えて